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ホルモン補充療法で対応困難…閉経前の更年期症状にピル

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ピルというと「避妊」を思い浮かべる人が多いでしょう。女性ホルモンが含まれるピル(低用量ピル)には、排卵を抑制し、子宮内膜を妊娠しにくい状態にさせ、子宮内に精子を入りづらくさせる作用があります。正しく飲むとコンドームより高い避妊効果が得られます。

 一方、ピルには月経周期の不規則や月経痛の改善、月経量減少などの効果もあります。そのため、月経トラブルで悩む女性に処方されることが多い薬です。同じく女性ホルモンの製剤としてホルモン補充療法(HRT)がありますが、ピルとの違いは大きく挙げて3つあります。

 まず、ピルに含まれる女性ホルモン量(エストロゲン)はHRTと比較して4~5倍多い。次に、HRTには避妊効果がない。さらにピルは、血栓症、乳がん、肝臓、腎臓、心臓などの病気を抱えている人は服用できないということです。

 40代になると月経が不規則になります。排卵しない月もあれば、排卵する月もあり、妊娠する可能性がゼロではありません。排卵しない月が続いたので「閉経した」と思っていたら、実は妊娠していた、というケースも少なくありません。

 閉経前のエストロゲン量が緩やかに減少すれば体も順応しやすいでしょうが、人によってはエストロゲン量が激しくアップダウンをしながら減少していきます。

 すると、HRTでは対応しきれず、症状が一時的に顕著に出る場合がある。しかしピルなら、女性ホルモン量がHRTより多いので、更年期症状を抑えられる可能性があります。

 もし、閉経前の更年期症状でHRTをしても症状が時折出る場合や、避妊効果も期待したい場合は、ピルも選択肢の一つ。ピルは女性ホルモン量が多いので、閉経に向かう時に起きる月経の不規則な周期や、HRTでは症状がなかなか回避できない強い症状に対し、適用があるかもしれません。

 また、すでにピルを飲んでいる人は、切り替え時期を医師に相談しましょう。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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