心と行動を変える健康革命

同じ考え方が大切 健康の「イチロー」や「本田圭佑」になる

常に目標を掲げて努力をしてきた
常に目標を掲げて努力をしてきた(C)日刊ゲンダイ

 なぜ私たちは、「イチロー」(プロ野球選手)や「本田圭佑」(プロサッカー選手)になれないのか? 子どもたちに、将来の夢をテーマに作文を書かせるわけではない。中高年に向けた医学話だ。

「受け身の外来」から「体験する外来」を目指して「行動変容外来」を開設した東京慈恵会医科大学の横山啓太郎教授。「慈恵医大晴海トリトンクリニック」所長として「ライフデザインドック」も本格スタートしたが、誰もが知っているイチロー(写真)や本田を引き合いに、健康のあり方を説く。

「イチローや本田、フィギュアスケートの世界チャンピオン・羽生結弦らの一流選手には共通の考え方、習慣があります。例えば『今日の自分は、過去の選択の結果』と考えて努力していること。子ども時代から終わり(理想の将来)を思い描き、逆算して物事を始めていること。感謝を口にして周囲を味方につけていること。物事を重要度(高・低)と緊急度(高・低)に分けた場合、『重要度が高く緊急度が低い』ことを大切にしていることなどです。これらは長く健康を維持するのに必要なメカニズムでもあるのです」

 実際、イチローは、3歳から野球を始め、ドラフト入団では「契約金1億円以上が目標です」と語っていた。さらに「僕が一流の選手になって試合に出られるようになったら、お世話になった人に招待券を配って……」と、目標を掲げて努力をしてきた。

 本田圭佑も「僕は大人になったら世界一のサッカー選手になりたい」と高い目標を立て、「1年間の給料は40億円欲しい」などと作文に書き、それをかなえるためにグラウンドで汗を流してきた。

 そして打率3割5分を打ったイチローは走り方を変え、羽生は五輪で金メダルを取った後、跳び方を変えた。世間は「せっかく完成したスタイルなのに……」と思ったかもしれない。

 しかし、彼らからすれば長く選手生活を続けるためには重要度の高い事柄だったに違いない。

 横山教授は、健康を維持するためにはこうした一流選手と同じような考え方や行動を持つことが大切だと言う。

 では長く健康な人生を送るには、どのような目標を掲げたらいいのか。

 まずは人生を大きく「若年層・健常」(30~50代)と、「初老層・罹患」(60~90代)とに分けてそれぞれの目標を持つことだという。

「例えば前期は、自身の健康に対する関心や教養を高め、健康の基本力をアップ。可能な限り大病の予防をすることを心掛けましょう」

 人によっては後期では脳梗塞など大きな病気を経験しているかもしれない。自身の健康に不安を持ちながらも、健康を強く望む時期でもある。

「いい加減な健康情報に振り回されないよう医療知識を確かめる習慣を身に付けましょう。医師の指示に従い、ケガや病気に注意する。また要介護状態に突入する年齢でもあります。これをどう防止したらいいのか、日常生活の中で、適度な運動などを欠かさないことなどできることを努力目標にしましょう」

横山啓太郎

横山啓太郎

1985年東京慈恵会医科大学医学部卒。虎の門病院腎センター医員を経て現在、東京慈恵会医科大学教授。同大学晴海トリトンクリニック所長。

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