100年老けない脳の作り方

認知症治療の現場でも 自分史を書く作業が脳の筋トレになる

子供時代の通学路を歩いてみる(C)日刊ゲンダイ

 玉ネギは、20歳より30歳の方が皮が何層も包まれる。

 60歳ともなれば、相当大きめの大玉といったイメージか。

「問題は30年、40年と生きてきて、仕事や住宅ローンなど目先のことばかり考える生活をしていると、本来の“自分らしさ”などが詰まっている芯の部分と距離が離れてしまう。玉ネギの皮が外からはがれ、中心まで腐りかねない。そこで、自分はどこから来てどこへ向かってきたかなど、過去を掘り起こす作業が重要になってくる。過去を回想して脳細胞のつながりを持つ作業です。これで“自分らしさ”を取り戻すことが、脳の認知予備力を高めるのです」(奥村院長)

 自分史の回想は、現在の記憶力、判断力、思考力の改善につながることも分かっている。まさに、脳の活性化そのものではないか。

 医療現場では、「回想法」と呼ばれるトレーニング法で、認知症の進行防止、中高年の認知症予防などの目的で利用されている。医学的な裏付けは確かなのだ。

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