■採取は切開の方が安全で確実
寿命を考えると、80歳の患者さんが冠動脈バイパス手術を行う場合は静脈を使ってもそれほど影響はないといえるでしょう。しかし70歳で手術する場合は、やはり動脈を使わなければ、その後のステント治療や再手術の可能性が高くなってしまうのです。
これからは多くの人が100年を生きる時代になりますから、私は「110歳までトラブルなく生きられる心臓手術」を目指しています。そのためには、やはりバイパスに使うグラフトは動脈が最適といえます。
ほかにもグラフトに関する研究報告がありました。冠動脈バイパス手術で大伏在静脈をグラフトとして採取する際、「内視鏡を使って採取」した患者と「切開して採取」した患者を比較したところ、死亡を含めた長期の経過や結果に有意差はなかったということです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」