糖尿病の基準値が厳しくなれば、かなりの人が糖尿病と診断され、かえって糖尿病に対する認識が甘くなる可能性があります。実際、40代以上の男性はメタボ健診をすると7割の人が引っかかるのですが、それゆえにハードルが低くなってしまい、「メタボって言われたけど、大したことがない」と間違った知識を持っている人が多い。読者の皆さんもそうではありませんか? そうして、メタボに至った同じ生活を今後も続け、やがては糖尿病をはじめとする生活習慣病で治療が必要になったり、最悪の場合は、心筋梗塞、脳卒中を起こしてしまうのです。
ガイドラインは、何十年間にわたるデータを利用して作っています。今のガイドラインの内容は、現在の人の食生活を反映したものではなく、過去の人の食生活を反映したもの。しかし、10年前、20年前から、食事や生活様式は大きく変化しています。
当時のデータでは、空腹時血糖が126㎎/デシリットル以上、ヘモグロビンA1c7%以上を糖尿病とするのがベターだと考えられたのですが、今のリアルな食生活なら、もしかしたら数値をもっと低くすべきかもしれません。
進化する糖尿病治療法