更年期を知って夫婦円満

更年期の睡眠不足は脳の休息を不十分にし体の不調を悪化

飲酒や喫煙などの嗜好品の習慣が
飲酒や喫煙などの嗜好品の習慣が

 更年期症状の原因は、性ホルモンのひとつであるエストロゲンの低下によるものです。エストロゲンは脳の視床下部から下垂体のコントロールを経て卵巣から分泌されます。

 ところが、加齢が進み卵巣機能が衰えると、必要な量のエストロゲンが分泌されなくなります。するとエストロゲンが関係する生殖機能、心血管系、自律神経系、脳神経系、皮膚代謝、脂質代謝、骨代謝がうまくいかなくなり、さまざまな不調が生じるのです。

 エストロゲンの減少以外にも、更年期症状を重くする原因があります。それは生活習慣です。飲酒は、特に影響が大きいと言われています。40代以降の女性の飲酒率は低いものの、それらが好きな人にとっては、耳の痛い話ですよね。

 私もお酒が好きで、一日の終わりに缶ビール2本程度の晩酌が毎日の楽しみでした。ところが更年期に入って寝つきが悪くなり、寝返りを打つうちに夜が明けてしまい、寝不足でつらい思いをするように。

 そこで眠れるようにと酒量を増やし、深酒になる頻度が増えました。ところが後で医師や看護師に指摘されて知るのですが、過度のアルコールは睡眠の質を下げます。私自身も、お酒をたくさん飲むと入眠はすんなりできたものの、眠りが浅くなり、何度も目を覚ますようになりました。

 更年期に起こる睡眠不足は、脳の休息を不十分にしてしまいます。エストロゲンの分泌指令は脳が行っているので、エストロゲン分泌の減少の加速につながり、体の不調の悪化も招きかねません。さらに多量のアルコール摂取は、深刻な飲酒習慣につながることも。

 婦人科で相談した看護師さんの話によると、更年期に飲酒量が増えたり、イライラなどを抑えるために、たばこの本数が増える患者さんは少なからずいるようです。更年期以降の嗜好品は、普段より量が増えないように注意しましょう。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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