後悔しない認知症

臨床的にも有効 自分で生きることが認知症の進行を遅らせる

「母親に介護施設に入ってもらおうかと……」

 知人の男性がそんな悩みを打ち明けてきた。彼の母親は現在87歳。10年前に夫を亡くして以来、東北の田舎町で一人暮らしを続けている。地域の保健所で定年まで保健師として働いてきた。もちろん持ち家もあり、地方の物価を考えれば一人で暮らすには十分な年金を得ている。だが、最近、物忘れの症状が進んできているという。

 すでに子どもも独立して夫婦2人暮らしの彼は、母の認知症の症状が進む前に自分の家に同居することを提案したが、頑として受け付けない。ならばと、田舎の介護施設への入居を勧めたが、これも首を縦に振らないという。「この年になって都会暮らしはイヤ」「まだ自分のことは自分でできる」ということらしい。

「何かあったら困る」という子どもの気持ちは理解できる。ただ、臨床的には「一人暮らしのほうが認知症の進行が遅い」と認められている。認知症の症状があっても、毎朝決まった時間に起き、朝食、掃除、洗濯といった身の回りのことをミスもなくこなす高齢者は多い。

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和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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