後悔しない認知症

臨床的にも有効 自分で生きることが認知症の進行を遅らせる

 ならば、どうすればいいか。子どもは、一人暮らしを続けさせながら、孤独感を覚えさせない方策を練るべきだ。コミュニケーションのために、定期的に電話、手紙などで連絡を取ること。いまは高齢者向けの携帯電話もある。場合によっては、親の家の固定電話を解約して携帯電話だけにしてみてもいい。詐欺対策にも有効だ。また、手紙やはがきなどで近況を尋ねたりするのもいい。子どもからの郵便が届くことは親にとっては電話での会話と違った楽しみになる。あらかじめ子どもの住所を書いたハガキ、切手を貼った封書と便箋を用意して、親に預けておくのもいい。子どもとの文通は高齢の親にとっては大きな喜びだし、脳の老化予防にもいい。

 そのうえで、多少のお礼を払ってでも近くに住む親戚なり、友人なり、信頼できる人とも連絡を取り、親の様子を定期的にリサーチし、生活の手助けをしてもらえるようにしておくのもいい。一人暮らしが困難なほど、認知症が進んだ場合に改めて対策を考えればいい。「認知症の一人暮らし=「危険、寂しい、不幸」という考え方を子どもは捨てたほうがいい。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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