がんと向き合い生きていく

かつては日本版の「看取りのパス」が使われていた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 驚いたことに、日本ではこれが複数の緩和病棟で日本版「看取りのパス」として使われました。論文発表では看取りのパスは終末期の緩和医療標準化ツールのひとつで、その理念は「よりよい生の終焉(good death)を迎えるために……その道程となる標準的手法を提示」とあります。

 終末期になって、一般状態の悪化や浮腫などの病状をチェックし、適応基準に合致すると看取りのパスに入るそうです。パスに入ると不要な治療・検査は中止され、標準化された終末のケアで患者ごとのケアのばらつきが減少するといいます。 麻薬などの鎮痛剤は残しながら、高カロリー輸液や抗生剤などの注射が削減され、その結果、薬剤費は半減。そして、看取りのパスを適応した場合、3日以内に亡くなった方が6割以上だったと報告されています。

■スタッフには迷いやためらいを捨ててほしくない

2 / 5 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事