また、論文では「患者に『死について』話してもよいか? 家族はどう思っているかなど、スタッフは対応に不安があった。しかし、このパスにより、ほぼすべてのスタッフが迷い、ためらいといった消極的感情を捨てることができた」としています。
死亡3日前くらいの状況でパスに入るようですが、そのとき患者には「栄養、抗生剤の点滴をやめます」「パスに入ります」と告げるのでしょうか? インフォームドコンセントができているといっても、私は「患者の心は大丈夫なのだろうか?」ととても気になりました。
該当する緩和病棟を直接見たわけではないので、勝手なことは言えません。ただ、患者は死を受容していたとしても、きっと心の奥には「生きたい」という気持ちが残っていると思うのです。臨終期にあって、医療者には、生きていていいんだよという心、命を惜しむ心、別れの悲しみ、哀れを感じる心、未練を肯定する心があると思うのです。ですから、スタッフにはむしろ迷いやためらいを捨てて欲しくないと私は思います。
がんと向き合い生きていく