もうイメージには騙されない 食品表示の正しい読み解き方

 健康で長生きしたければ食事に気を配るのは当然だ。「国が認めて売っている食品だから安心」と思うのは勝手だが、食品会社は消費者がおいしいと思えるものを作りたくさん売るのが商売。国は流通している食品に最低限の安全性は担保するが、消費者が選んで食べたものの結果は自ら責任を取るしかない。だからこそ、消費者はその食品はどこで作られたものでどんな成分が入っているか、食品表示を正しく読み取る力が必要だ。早稲田大学招聘研究員で、栄養士の古谷彰子氏に話を聞いた。

 食品表示法はかつての「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」の3つの法律を一元化し、わかりやすい食品表示制度を目指して作られた法律だ。所管は消費者庁で完全移行までの猶予期間は2020年3月31日までと定めらている。従来との相違点は①加工食品及び添加物の栄養成分表示の義務付け②アレルギー表示の変更③機能性表示食品制度の新設④すべての加工食品の原料原産地表示の義務付けなど。

「①は熱量、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5成分表示の義務付けです。②は原材料名のそれぞれに個別表記が原則となり、例外的にアレルゲンを一括表示することが可能になりました④はすべての加工食品の重量割合第1位の原材料は原料原産地表示が必要となったことです」

 では具体的にどの食品にどのような表示がなされているのか? その読み方を解説してもらった。

【紅茶】
「同じ会社の紅茶の比較です。原産国はスリランカ、インドなどで同じですが違いは香料です。写真(A)は原材料名が紅茶であるのに対して写真(B)は紅茶/香料となっています。香料には天然のものと合成のものがあります。どちらが使われているかはわかりませんが、(B)は(A)に比べて茶葉の香りを豊かなものにするために香料が使われていると推測できます」

 ちなみに日本香料工業会のHPによると香料には天然香料と合成香料があり、それぞれ約600種類、400種類が使われているという。

【ポテトチップス】
「(C)と(D)では原材料名に違いが見られます。(C)はじゃがいもが先頭に表示されているのに対して(D)はポテトフレークがトップです。フレークとは薄片にしたものという意味です。つまり(C)は生のじゃがいもをスライスして油で揚げたものですが、(D)はじゃがいもを粉末状にした加工食品であり、固めて油で揚げたものです。ポテトフレークを使うのは長期保存できるため材料不足に陥るリスクがないこと、どこの国のじゃがいもも使えること、サクサクとした食感を得やすいこと、加工するので大きさが均一で見た目がキレイであること、などのメリットのためです」

 ちなみに(E)に使用されているたんぱく加水分解物とは小麦や肉などを原料とする食品のひとつ。うまみを調整するために使われる。

「たんぱく加水分解物は比較的簡単な加工で製造されるため『添加物』でなく『食品』扱いになっています。この表示があれば、風味を強調していると考えると良いでしょう」

 ちなみに食品表示法では食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかである食品のうち、とくに発症者数や症状の重症度が高く、表示する必要性の高い食品7品目を「特定原材料」として定め、表示を義務づけている。また、20品目を「特定原材料に準ずるもの」として、可能な限り表示するよう推奨している。

【カフェオレ】
 本来カフェラテは温めた牛乳が8割で残りがエスプレッソコーヒーのこと。カフェオレは温かいコーヒーと温かい牛乳が半分ずつのもので、カプチーノはエスプレッソ対温めたミルク対蒸気で泡立てたミルクが1対1対1になるものを言う。

「スーパーなどで買える品物はこれに準じているかも、表示をよくみる必要があります。カフェオレの食品表示で良く見る『生乳』『牛乳』の違いは、乳牛から搾ったものが生乳、それを殺菌処理したものが牛乳という意味です。牛乳は省令で無脂乳固形物と乳脂肪分は合わせて8%以上と定められていますが、乳飲料にその定めはありません。両者合わせて3%以上が牛乳業界の自主基準です。ちなみに無脂乳固形分とは牛乳から水分と乳脂肪分を抜いた、牛乳本来の栄養成分です。乳脂肪分が多いほどコクが出ます」

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