性感染症最前線

性器カンジダ症<1>男性は少ないが女性は5人に1人が経験

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌。健康な人でも皮膚、口の中、消化管、性器など、どこにでもいる常在菌で、他の常在菌とのバランスが崩れ、極端に増殖すると「カンジダ症」という疾患になる。増殖した場所によって「皮膚カンジダ症」「口腔カンジダ症」「性器カンジダ症」という病名で呼ばれる。

 性器カンジダ症は性感染症のひとつに挙げられているが、セックスが原因となるケースは意外と少ない。性感染症専門施設「プライベートケアクリニック東京」(新宿区)の尾上泰彦院長が言う。

「性器カンジダ症は女性性器の感染症では日常、頻繁に見られますが、男性の罹患(りかん)率は低いので、女性特有の病気といってもいい。女性の5人に1人(約20%)が経験するとされますが、そのうちセックスが原因になるのは5%ほどです」

 女性での主な病態は腟炎や外陰炎で、この両方が合併することが多いので、一般的に女性の性器カンジタ症は「外陰腟カンジダ症」と呼ばれる。

 単に外陰や腟にカンジダ菌を保有しているだけではカンジダ症と診断されず、治療の必要もない。腟内のカンジダ菌の保有率は、非妊婦で約15%、妊婦で約30%。このうち治療が必要になるのは、非妊婦保有者の約35%、妊婦保有者の約15~30%という。

 では、女性ではどんな症状が現れたらカンジダ症が疑われるのか。

「自覚症状は、外陰や腟の強いかゆみとオリモノの増加です。特徴的なのは、酒粕状、粥(かゆ)状、ヨーグルト状と表現される白色のカス(粘着度の高いオリモノ)が腟壁や子宮頚部にかたまりとなって付着するようになります」

 オリモノの増加は他の感染症にも見られるが、腟トリコモナス症では泡沫(ほうまつ)状の悪臭の強い黄緑色のオリモノ、細菌性腟症では灰色の水っぽいアミン臭(魚臭)のするオリモノが特徴。臭いのない白色のオリモノが増え、強いかゆみを伴えばカンジダ症の可能性が高い。

 一方、男性の性器カンジダ症は少ないが、症状が出るとすれば「カンジダ性亀頭包皮炎」という病態で現れる。亀頭部と包皮が赤くなり、かゆみや違和感があり、白いカスがボロボロと出るようになってくるという。基本的に、これらの症状がなければ検査や治療の必要はないが、パートナーの女性がカンジダ症を繰り返す場合には男性にも検査が勧められる。

 次回は、なぜカンジダ菌が増殖してしまうのか。その主な誘因と治療法を取り上げる。

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