人生100年時代を支える注目医療

正診率は98% 世界初AI搭載「超拡大内視鏡」の実力とは

医師の診断を補助する「エンドブレイン」(C)日刊ゲンダイ

■熟練医並みの正診率で3月から運用開始

 AIに学習させたデータは、同院をはじめ国内5施設の医療機関の約6万枚に上る内視鏡画像。それによって国内多施設後ろ向き性能評価試験では、「感度96.9%」「正診率98%」という熟練の専門医に匹敵する診断精度が得られている。感度とは、疾患のある患者のうち、検査で正しく陽性と診断された割合。正診率とは、疾患のある・ない患者のうち、検査で正しく陽性・陰性と診断された割合だ。

 加えてエンドブレインは、色素を散布して見る「染色観察」と、2種類の光を照射して病変を強調して見る「NBI観察」の観察モードにも対応している。

 また、隆起した病変のポリープだけでなく、陥凹型がんのような表面がへこんだ病変の画像データも学習させているという。

「これまでの腫瘍か非腫瘍かの平均的な正診率は70~80%程度です。専門医でないと判断が難しく、すべてのポリープを切除してしまう場合もあります。AIのサポートで正診率が上がれば、検査に伴う出血や穿孔などの合併症のリスクが減らせます。それに通常、切除したポリープの病理診断が出るまで2週間ほどかかります。エンドブレインはリアルタイムで病理学的な観察ができるので、その分、患者さんの不安も軽減でき、病理医の人手不足の解消にもつながります」

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