役に立つオモシロ医学論文

水を飲めば肥満予防できるかも 3200人5年追跡調査の結果は

水を飲むと…
水を飲むと…

 過去の文献報告によれば、水分摂取が摂取カロリーの低下をもたらし、肥満の予防に効果的である可能性が示唆されています。

 実際、水を飲んで空腹がまぎれたという人は多いはずです。

 水の摂取と過体重(肥満ではないが標準体重よりも太っている状態)との関連性を検討した研究論文が、日本疫学会誌の電子版に3月16日付で掲載されました。

 この研究は標準体重(体格指数<BMI>が平均21)であった18~65歳の3200人が対象となり、1日当たりの水の摂取量(1杯を240ミリリットルと定義)と過体重(BMI24以上)のリスクの関連が検討されています。なお、結果に影響を与えうる、年齢、教育水準、喫煙状況、睡眠時間、身体活動量、エネルギー摂取量などの因子で統計的に補正を行って解析しています。

 5年にわたる追跡調査の結果、1日の水の摂取量が2~3杯の群と比較して、4~5杯で26%、6杯以上で45%、統計学的にも有意に過体重のリスクが低下しました。また、摂取量ごとの過体重リスクを検討したところ、水の摂取が1杯増加するごとに男性で6・5%、女性で8・4%、過体重リスクが低下することも示されました。

 もちろん、水の摂取にダイエット効果があるというより、水を積極的に飲んでいる人はもともとダイエットに関心が高い人だった可能性もあります。また、水といえど一度に大量に飲んでしまうと、場合によっては体内の電解質量のバランスを大きく崩してしまうこともあり危険です。

 とはいえ、適度な水分摂取で体調を崩すとも考えにくいので、体重が気になる方は1日当たり1~1・5リットルくらいを目安に水を飲んでみてはいかがでしょうか。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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