見えてきた認知症のメカニズム 悪玉腸内細菌が脳を壊す

善玉菌では進行が抑えられる(C)日刊ゲンダイ

 家に水道と下水道の2つのパイプがあるように、人の体には酸素や栄養素を送る「血管」と組織から放出された毒素や老廃物を運び出す「リンパ管」がある。

 末梢免疫細胞はこのリンパ管を通じて脳や脊髄などの中枢神経系での異変を察知し、問題が起こるとサイトカインを分泌するなどして影響を与えていたのだ。

「アルツハイマー病の大まかな発症メカニズムは、おおよそわかっています。まず20歳ごろから大脳と脊髄をつなぎ、反射神経と呼吸など生命維持に関係する脳幹にタウがたまる。50歳くらいになると、タウは記憶をつかさどる海馬周辺にたまるようになる。60歳くらいになると、Aβが大脳皮質に蓄積していく。これらは独立した動きなのですが、Aβの蓄積が一定量を超えると、異常な構造を持つタウが隣接する正常なタウを異常なタウに変えていく活動が一気に活発となる。そして大脳皮質に向けて神経細胞を殺していくのです。ところが、腸内細菌叢の変化がこの動きに拍車をかけることが判明し、全身の状態がアルツハイマー病の病状にかかわることがわかってきたのです」

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