がんと向き合い生きていく

透析の中止はがん終末期患者との治療法とは全く意味が違う

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

 もちろん、本人の同意がなければ透析が実施できないのは確かです。無理やりできることではありません。

 しかし、透析さえすれば助かり、日常生活が送れて長く生きられる患者が、透析しない選択をして、そして亡くなっていくのを、医師もスタッフも黙って見ているのでしょうか? 透析の中止は、がんの終末期患者が余命いくばくもない状況になって「がん治療中止」を選択し、緩和医療をするのとはまったく意味が違うと思うのです。

 透析は週3回、1回4~5時間かかります。長年続けてきたら、やめたくなる時は誰にでもあるでしょう。それでも、透析さえすれば長く生きられる、みんな我慢して治療を受けている……医療者が患者の心に寄り添いながら励ましてくれているから、患者は続けていると思うのです。

 患者の命がかかっています。透析するのに血管の状態が悪くなったら、腹膜潅流という方法もあります。本人の意思や書面での確認も大切かもしれませんが、その前に、医療の原点は「命を最大限、尊重すること」だと思うのです。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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