令和時代の医療新常識

「こころの病」は免疫異常が原因 診療が激変する可能性が

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 がんが死なない病気になりつつある中、今後、飛躍が期待される医療分野が精神疾患だ。脳の血流動態が分かるfMRI(機能的核磁気共鳴装置)など、脳を可視化する検査装置が相次ぎ登場、新たな知見が続々発表されている。

 注目は脳内免疫細胞としての働きを担うミクログリア細胞の過剰活性と精神疾患との関係を示した「ミクログリア仮説」だ。ストレスなどでミクログリアが過剰活性化されると、正常な神経組織まで障害し、うつ病、統合失調症、ひいては認知症などを招くという。佐賀大学医学部精神医学講座の門司晃教授が言う。

「これまで、うつ病などの精神疾患はノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどによる神経伝達機能異常が関係するといわれてきました。しかし、機能異常を薬などで調整しても、期待通り症状は改善しない。そこで注目されたのがミクログリアだったのです」

 ミクログリアは、脳や脊髄などの中枢神経に分布し、脳全体の10%前後を占める免疫細胞。通常は脳内の変化を監視し、異変を察知すると活性化し、病原体などがいる場所まで移動して炎症性サイトカインやフリーラジカルなどで攻撃し、神経組織を保護する。しかし、いろいろな悪条件が重なると暴走して正常神経組織まで攻撃。結果的に、脳の機能や構造を変え異常行動を引き起こす。

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