令和時代の医療新常識

「こころの病」は免疫異常が原因 診療が激変する可能性が

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 実際、うつ病、統合失調症、自閉スペクトラム症患者などの脳内でミクログリアの過剰な活性化が認められること、精神症状が重症なほどミクログリア活性化が強く、自殺願望を抱く患者では活性化の程度がさらに強いこと、実験的にストレスを与えたマウスでも、ミクログリアが活性化し、行動変容が起きることなどが報告されている。これらの事実から、ミクログリアの過剰活性化が精神疾患の重要な鍵になる可能性がささやかれているのだ。

「脳は血液脳関門によって厳重に守られており、病原体などの異物の侵入に対する免疫応答を抑制し、炎症を最小限にする。他の領域とは独立し、『免疫学的特権』があるといわれてきました。しかし、脳がダメージを受けるとさまざまな経路を通じて、末梢の炎症反応の影響を受けやすくなり、全身の免疫系の活性化が神経組織に影響を与えます。このように、脳と全身の免疫系は密接に関連し、例えば、意思決定、感情コントロール、状況判断などに重要な役割を果たす脳の前頭前野などが影響を受けて、行動変容を起こすことなどが分かってきたのです」

「令和」時代、うつ病や統合失調症などの「こころの病」の治療に免疫制御が加わるなど大きな変化が起こるかもしれない。

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