令和時代の医療新常識

腸内細菌ががんや難病を治す 新薬開発や便移植にも期待

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「患者さんの腸内を調べてみると、腸内細菌の種類が少なく、分布のパターンに乱れ(ディスバイオーシス)があることが分かっています。食事や衛生といった環境の要因と遺伝子の要因が重なり合って腸内細菌のバランスが崩れ、結果的に免疫系が暴走し、発症に関わっていると考えられているのです」

 現時点では、まだ根治治療はなく、免疫機能を調節する投薬治療が一般的だ。

「腸内細菌のバランスを整えれば改善することから、便移植の研究が進んでいます。100グラム中にさまざまな種類の100兆個の腸内細菌が含まれている健康な人の便を生理食塩水に溶かして撹拌し、フィルターで濾過してから大腸内視鏡を使って腸内に注入します。海外や日本では臨床試験が行われている段階で、日本人に効果が見られれば保険適用される日も来るかもしれません」

 近い将来、さまざまな病気に対し、腸内細菌を活用した治療が一般的になるかもしれない。

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