我慢が必要なダイエットはやってはいけない…医師が警告

(C)Vadym Petrochenko/iStock

 薄着の季節になってきた。ダイエットに何度かトライしてきたが、失敗してリバウンドを繰り返している人もいるだろう。

「その大きな原因は、『維持』を考えていないことです」

 こう指摘するのは、東京慈恵医大教授の横山啓太郎医師(同附属病院腎臓・高血圧内科行動変容外来診療医長)だ。

 横山医師はダイエットを患者に指導する際、一つの方法として、「自分が太る理由として、何が問題か」と患者自身が思うことを紙に10個書き出してもらう。そして、そのうち一番悪いと思うことから順に1~10の番号をつけてもらう。

「その上で、一番悪いと思うものをやめられますか?と聞きます。できるという人には、本当に?とさらに聞きます。すると、二番目はどうかな…という声が出てきたりします」(横山医師)

 そこで勧めるのは、一番悪いと思う問題点と二番目に悪いと思う問題点を同時にやめるのは「やめなさい」ということ。それよりも、ハードルが低いものをやめることから始めるように言う。

 これには、横山医師が長年にわたって生活習慣改善をしてきたことに加え、自身の経験も関係している。

「私は57~58㌔が適正体重で、何も考えないで行動していると62㌔まで体重が増える。一方、白米とビールを飲まなければ56㌔まで簡単に落ちます。しかし、白米とビールを一生やめられますか、ということ。瞬間的に56㌔に到達できても、白米とビールを取り始めたらすぐに太るのです。だから決めているのは、白米を食べた日はビールを飲まない、ビールを飲んだ日は白米を食べない。ハードルが高い決まりごとを一度にしない」(横山医師)

 ダイエットをするなら、その後の維持に重きを置かなくてはならない。そしてそのためには、ハードルの低い、一生続けられる方法でなくてはならない。

 もし、患者が維持を視野に入れていないダイエットを考えているとしたら 「僕は、ダイエット開始はまだ先ですよ、と言います」(横山医師)とのことだ。横山医師は4月からは附属病院に加えて慈恵医大晴海トリトンクリニックでも行動変容外来を開設した。

関連記事