医者も知らない医学の新常識

米で死亡リスク2倍の報告 猫を飼うと肺がんになりやすい?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 世界的なペットブームです。少子化の世の中では、ペットが家族の立派な一員ということも、多いと思います。

 ただ、動物は人間にはない病原体などを持っていることもあり、それが人間に感染することもあります。オウム病や猫ひっかき病、狂犬病など、動物の名前が付いている感染症が多いのは、そうした事実があるからです。原因の分かっている病気については、それに応じた対策を取ることが可能です。しかし、中には原因不明のものもあるのです。

 肺がんはじん灰やたばこの煙など、環境との関連が強いがんとして知られています。そして、同じように肺がんになる危険性を高める要因として報告されているのが、ペットの飼育歴です。たとえば鳥を飼っている人は、その糞(ふん)の中にカビの毒素などが含まれていることがあり、それを吸引することで肺の炎症が起こって、肺がんになるという可能性が指摘されています。

 それでは、他の動物の飼育でも、がんとの関係はあるのでしょうか? 今年の環境科学の専門誌に、アメリカでの調査結果が報告されています。それによると、ペットを飼っているとその後肺がんによって死亡するリスクは2倍以上になり、猫を飼っていると3倍近くなる、という結果でした。意外にも、他の動物より猫の飼育のリスクが高かったのです。

 動物を飼っている人は、糞などから舞い上がるホコリを吸い込まないように、気を付けた方がいいようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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