これで認知症介護は怖くない

認知症の家族を「頑張って最期まで介護する」は正しいのか

(提供写真)

 アルツハイマー型認知症の人には「作話」はよくある。認知症になって不安でいっぱいなのに、家族から不用意な言葉をかけられたら、自分を守るために作り話で取り繕うのは人間として自然な行動である。そうとわかっていても、それを否定せずに何度も聞き続けることができるだろうか。プロの介護職でも無理だ。

 認知症の人に必要なのは、自分にできないことは無理せず、誰かに頼ることだったが、家族も誰かに頼ることである。

 地域で相談できる場所をつくったり、自分の気持ちを話せる相手を見つけたり、あるいはデイサービスやショートステイを利用して自分の時間を持つのも手だ。連載8回目でも紹介した丹野家のように「ほったらかし介護」はベストだが、それも頼れる方がいてこそである。かいがいしく世話をしようなんて考えず、人に頼りつつ、開き直ることも必要だろう。

 辛抱しない! 頑張らない! 悩みをひとりで抱え込まない! 介護を「快護」に変える条件はこの3つである。

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奥野修司

奥野修司

▽おくの・しゅうじ 1948年、大阪府生まれ。「ナツコ 沖縄密貿易の女王」で講談社ノンフィクション賞(05年)、大宅壮一ノンフィクション賞(06年)を受賞。食べ物と健康に関しても精力的に取材を続け、近著に「怖い中国食品、不気味なアメリカ食品」(講談社文庫)がある。

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