50代で突然の膵臓がんステージ4の宣告をどう受け止めるか

佐藤優氏(右)と静岡・弓ケ浜にて(豊島昭彦氏提供)

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 膵臓がんが分かった時、「なぜ自分が」と思いました。自覚症状は全くなく、人間ドックもこれまで毎年受けていた。あと20年は人生があると思い、定年後は好きな小説を書くのに時間を使いたいと準備もしていたのです。

 肝臓の異変を指摘されたのは、昨年5月25日の人間ドック。7月18日の精密検査後、同30日から1週間の検査入院となりました。初日に妻だけが医師に呼ばれ、膵臓がんと告げられました。肝臓やリンパ節に転移している末期がんで、根治を目指す手術や放射線はできず、残された道は2通りの抗がん剤治療です。どちらも効かなければ緩和ケア――。

 詳しい病気の説明を受けたのは退院日でしたが、検査入院中に涙がこみ上げてくることが度々ありました。自分や家族は今後どうなるのだろう。不安で仕方ありませんでした。しかし最終的に行き着いたのは、「今は悩んでも解決できない状態。悩むのはやめて残された時間をどう生きるか考えよう」ということです。

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