50代で突然の膵臓がんステージ4の宣告をどう受け止めるか

佐藤優氏(右)と静岡・弓ケ浜にて(豊島昭彦氏提供)

 私は勤めていた銀行の倒産や外資系ファンドによる買収などを体験しています。自分で改善できる状態ではなく、「波」にのみ込まれた中で何ができるかを考えるしかないことが何度もありました。今回は「がん」という命に関わる波だったわけですが、自分ができることを考えていれば、真っ暗な中にも光の道が見えてくるだろう。それを進んでいくことで何か得られることがあるんじゃないか。そう思ったら、気が楽になりました。

 国立がん研究センター中央病院で、週1回の抗がん剤治療が始まったのは8月21日。がん治療と仕事の両立に慣れてきた10月15日の深夜、佐藤君(佐藤優氏)にメールを送りました。

 高校時代の親友である佐藤君とは、がんが分かる少し前に40年ぶりの再会を果たし、それ以降、メールのやりとりをしていました。

■治療法は抗がん剤2通りのみ。効かなければ緩和ケア

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