進化する糖尿病治療法

しっかり運動をしているのに…逆に体重が増える理由

坂本昌也氏(C)日刊ゲンダイ

 たいていの場合、運動後の食事に問題があります。夫婦でスポーツジムに通い出した男性も、まさにそうでした。

 お話を伺うと、ジムの後にがっつり飲んで食べている。「運動してエネルギーを消費したから」という気持ちがあるため、ついつい、欲望のおもむくままに店やメニューを選んでしまうのです。

 ある日のジム後の食事内容を聞くと、居酒屋でお刺し身、揚げ出し豆腐、ハムカツ、注文を受けてから土鍋で炊く炊き込みご飯を2人で食べたそうです。日本酒を飲みながら……。お刺し身はいいとしても、揚げ物2品と炊き込みご飯は明らかに摂取エネルギー過多。

 おまけに、仕事終わりにスポーツジムへ行くので、それを終えてからの食事時間は随分と遅くなり、夜10時前後。これもよくありません。

 運動をした後は、体は飢餓状態になっており、栄養の吸収が通常より良くなります。このタイミングで取ってほしいのは、筋肉を作るタンパク質やビタミン、ミネラル。なお、運動後の食事としては、たくさん市販されているプロテイン商品を利用している人もいるでしょう。私個人の考えとしては、長期的に見るなら、食事でしっかりとタンパク質を取る習慣をつける方がいいと思います。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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