進化する糖尿病治療法

しっかり運動をしているのに…逆に体重が増える理由

坂本昌也氏(C)日刊ゲンダイ

 さて、冒頭の男性の食事メニューですが、お刺し身くらいでしかタンパク質を取れていない。豆腐やハムもタンパク質が含まれているものの、揚げているのでカロリーを取り過ぎることになります。また、炊き込みご飯の糖質は、仕事や頭脳活動を行う前(一般的には朝や昼)には取るべきですが、これから寝るだけというタイミングでは控えた方がいいです。

 運動は、確かにエネルギー消費につながります。しかし、思っているほど多くなく、運動後の食事内容によっては、消費エネルギーより摂取エネルギーの方が上回ることはよくあります。

 消費エネルギー(キロカロリー)は、「1.05×運動(METs値・時間)×体重(キログラム)」で出します。たとえば、時速8キロのランニングのMETs値は1時間当たり8・3。体重50キロの人が1時間走った時の消費エネルギーは、「1.05×8.3×50=435.75キロカロリー」です。運動を免罪符にして、焼き肉屋でビールを飲み、肉をたっぷり食べ、冷麺でシメれば、摂取エネルギーが消費エネルギーをやすやすと超えてしまいます。これでは太って当然ですね。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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