更年期を知って夫婦円満

夫が話を聞いてくれる…これだけで不調が軽減することも

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 妻が更年期の不調で苦しんでいる時、夫が最初にできることは、その不調に気が付くこと。「それだけでいいの?」と思うかもしれませんが、夫の気付きとサポートで症状が軽くなることは、結構あるのです。

 更年期症状の無気力、記憶力低下、うつ症状は、人によっては徐々に表れ、変化に気づきにくい傾向があります。関節や肩、腰などの身体的な痛みは整形外科に通院しても回復しにくく、“なぜよくならないのか”とひとりで悩んでいることも。整形外科医は、それらの痛みが女性ホルモンの影響と結び付けることが少なく、症状がなかなか改善せず別のクリニックを転々としたりマッサージや整体などにもお金を使ってしまう女性の話を、私は何度も聞いたことがあります。

 心や体がしんどい時、誰かひとりでも親身になって話を聞いてくれると安心するものです。話の内容は体調のことではなく、仕事や子育て、介護の愚痴かもしれません。それらに対し、ただひたすらに相手の話に耳を傾けることが大きなサポートになります。解決法やアドバイスは必要とされていません。

 また、時に動くのもつらいほど重い症状を抱えていると、気力も低下し、自分で別の病院を探すのもおっくうになります。もし、そのつらさが、更年期が原因で起きているのだとすれば、更年期外来がある婦人科を妻の代わりに探すのも夫の重要な役割でしょう。そして、病院に付き添うことも、大きな助けになります。

「ヒマだから更年期になる」というのは都市伝説。「昔の女性は我慢した」と言う人が男女問わずいますが、これを現代に当てはめようとするのが間違いです。そもそも現代の女性でも更年期とうすうす気付きながら、我慢してしまう方がいます。

 この連載で何度も述べてきた通り、体のさまざまな場所に作用する女性ホルモンの減少が、更年期障害の原因。気丈にしていても、よくなることはありません。

 人生を楽しく共に歩むためには健康であることは大切です。ほかの病気と同様に、適切な治療を受け回復につなげる。これが夫婦のQOL(生活の質)の向上になります。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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