頭部打撲が多いとなぜ認知症発症リスクが高いと言われるか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■脳のゴミ出し機能が壊れる

 実際、Aβを過剰につくり出すマウスは硬膜内リンパが壊れると記憶をつかさどる脳の海馬にAβが沈着することがわかっている。同様の報告が複数あることから硬膜内リンパ管もまた異常タンパク質の排出に重要な役割を果たしている可能性が高い。

 つまり、頭部にダメージを受けて脳表面を覆う硬膜内リンパ管が壊れたりつぶれたりすると脳内のゴミが行き場を失うことになる。脳卒中を起こして脳内の血管の一部が壊死したときも同様で、行き場を失った脳内のゴミはどんどんたまり、脳神経細胞を殺していく。そんな構図が見えてくるのだ。

 その意味では頭部にくり返しパンチを受けるボクサーに「ボクサー脳症」と呼ばれる認知症やパーキンソン病に似た症状が出たり、それを放っておくと認知症、パーキンソン病を発症することも納得がいく。

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