サラリーマン the バイブル

腸内環境を整えて健康に 3種の細菌の理想バランスと食事法

(C)PIXTA

 人間の小腸から大腸には、腸内細菌が約1000種類、1000兆個以上すんでいます。顕微鏡で腸の中をのぞくと、腸内細菌が群生するように繁殖し、花畑や草むらのように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。

 腸内細菌には3つの種類があります。人に良い影響を与える善玉菌、悪い影響を与える悪玉菌、そして善玉菌と悪玉菌のうち優勢な方へなびいて作用する日和見菌です。これらの菌のバランスを腸内環境と呼び、「腸内環境が整っている状態」というのは、善玉菌が優勢な状態を指します。

 腸内フローラを構成する善玉菌は乳酸菌、ビフィズス菌、アシドフィルス菌などで、腸の働きを活性化させて便秘や下痢を予防。免疫機能を高めます。 

 一方、ウェルシュ菌やブドウ球菌などの悪玉菌は、腸内の腐敗を進め、便秘や下痢を起こしたり、発がん物質をつくり出したりします。

 腸内フローラの状態は、さまざまな要因で変化します。精神的なストレスで腸内環境が乱れると、下痢や便秘といった症状を起こしやすい。肉類中心の食生活では、脂質や動物性タンパク質を好む悪玉菌が増える。抗生物質の服用は病原菌だけでなく、ほかの害のない菌まで排除するために、腸内の善玉菌が減り、腸内環境が乱れます。

 腸内フローラの理想的なバランスは、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%。善玉菌の割合を多く保つのに重要なのは、悪玉菌の定着や増殖を防ぐ乳酸菌を多く摂取すること。ヨーグルトやチーズ、納豆などの発酵食品を積極的に取ってください。

 次に、オリゴ糖や食物繊維の摂取で、乳酸菌が作用しやすい環境をつくる。オリゴ糖は大豆やゴボウ、食物繊維は穀物、海藻、キノコ類などに含まれています。さらに、適度な運動や十分な睡眠のほか、朝食を取ることも腸内環境を整えるためには大切です。 

(国際医療福祉大学熱海病院検査部・〆谷直人部長)

関連記事