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保険でカバーできる「傷が残らない」甲状腺の内視鏡手術

片山昭公センター長(左下) 手術の傷跡はほとんど目立たない(左上)(C)日刊ゲンダイ

■首の傷は5ミリ1カ所

 では、首に傷を残さず、どのように内視鏡を挿入して手術をするのか。

「VANS法で切開するのは、開襟のシャツで隠れる鎖骨の外側下に2・5センチ程度のシワに沿った切開1カ所と、首には内視鏡を挿入する5ミリの切開1カ所だけ。首の傷はわずかなので残りません。鎖骨下の傷も小さいのでほとんど目立たない。傷が盛り上がるケロイド体質の人でもシャツで隠れてしまいます。従来の外切開手術では1週間程度の入院が必要ですが、例外を除くとVANS法ではほぼ全例で術後3日目に退院しています」

 内視鏡手術は多種多様の器具を用いるので手術時間は外切開手術に比べて30分程度長くなるが、片側摘出の場合で1~2時間程度だという。合併症の発症頻度は術者の経験と技量に依存するが、安全性は外切開手術と変わらない。片山センター長の約560例のうち、永続的な反回神経麻痺(声がれ)は2例、術後出血は8例で、従来の方法に対してまったく遜色はない。

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