こうした医療の近未来を考えると、患者は“本当に進行した状態”になる前に疾患を発見することが重要になってきます。日本は世界有数の診断大国です。最新式のCT、エコー、MRIをはじめとした優秀な診断機器がたくさん揃っています。そうしたハード面の恩恵を受けるには、なるべく早い段階で、変に怖がらずに検査を受けることが大切です。
かつての日本には、手遅れになるくらいまで病気が進行した状態で、倒れてから初めて見つかる……といった傾向がありました。少し調子が悪くてもガマンして健康障害を抱えていても自分でしのぐという文化のようなものがありました。いまもそうした意識を持っている高齢者も少なくありません。しかし、それはもう“医療発展途上国”の考え方だといえます。
低成長の時代になり、いまの日本は「自分のためにお金を使う」という文化がある程度、定着しています。「水を購入する」という行為が一般的になったのはその最たる例と言えるでしょう。公共のシステムから入手できるものに対し、プラスアルファを求めてお金をかけて小さな満足を手に入れる。それが当たり前になってきています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」