Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

鈴木おさむは肺の数値上昇にドキッ 腫瘍マーカーの読み方

鈴木おさむさん(C)日刊ゲンダイ

 鈴木さんが心配されているSCCは英語の扁平上皮がんの略で、子宮頚部がんや肺がん、頭頚部がん、食道がんなどとの関連が分かっています。

■早期発見はほぼ無理

 結論からいうと、ほとんどの腫瘍マーカーは、早期がんで上昇しないので、早期発見に結びつくことはまずありません。採血だけで検査法はとても簡便ですが、それだけでは確定診断できるものではないのです。

 先日、東大病院に来られた40代の女性も、SCCの高値を気にされていました。数年前の人間ドックから数値が上昇し始め、今年のドックで基準値を超えたことで、子宮頚がんの可能性を指摘されたようで、ノイローゼ気味でした。

 しかし、当院で採血すると、まったく問題のない数値。腫瘍マーカーはがんの早期発見にはならないことを説明すると、「オプションは受けなければよかった」とホッとして帰られました。SCCは正常な扁平上皮にも存在し、アトピー性皮膚炎や喘息、肺炎、結核などでも上昇。長年の喫煙の影響でも数値が上がります。しかも、日内変動が大きく、がんでなくても、数値が高くなることは少なくないのです。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事