Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

鈴木おさむは肺の数値上昇にドキッ 腫瘍マーカーの読み方

鈴木おさむさん(C)日刊ゲンダイ

 卵巣がんと関係があるCA125について、米国の研究では、検査を受けた人と受けていない人を比較すると、早期発見率も死亡率も、有意差が認められませんでした。早期発見については、このような状況がほとんどです。それなのに、早期発見がPRされると、がんではないのに異常とされる「偽陽性」で不安に駆られる人が続出します。そこが問題です。

 では、腫瘍マーカーはどうやって見極めるか。それは治療効果の判定や再発のチェックです。大腸がんで手術した方が定期的にCEAを測定すると、再発を早期発見できる、生存率が向上したという報告があり、再発チェックでのCEA検査は世界的に推奨されています。また、卵巣がんに対するCA125や前立腺がんのPSAは、治療効果の判定に役立つことが明らかです。

 腫瘍マーカーのチェックは、がんになってからということです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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