検査数値 裏読みナナメ読み

白内障なら細隙灯顕微鏡検査 失明原因の4疾患の検査法は?

目の疲れがとれない…
目の疲れがとれない…

 私の専門は耳鼻科ですが、産業医として働いている方に接していると、目の悩みを耳にすることがよくあります。新聞や小説など細かい文字が見えにくい、目の疲れがつらい、まぶしくて見えにくいといった日常生活の悩みがほとんど。視力低下といっても、その表現はさまざまです。

 たとえば、白内障は加齢とともに増え、70代ならほとんどの方に見られます。レンズの役割をする水晶体が濁るのが原因です。混濁によって光が真っすぐ網膜に届かず、乱反射するから、まぶしさが強くなります。クルマのヘッドライトがまぶしい、太陽を背にこちらに歩いてくる人の顔がまぶしくて見えない……。そんな表現です。

 これを調べるのに有効なのが、細隙灯顕微鏡検査。暗室で帯状の光を目に当てて、拡大鏡で角膜や瞳孔、水晶体などを観察するため、白内障を早期発見できるのです。さらに屈折検査で、角膜の湾曲の状態や水晶体の厚みなどもチェックして診断します。

 糖尿病の方は、混濁が早くから生じ、40代で発症することもありますから頭に入れておくといいでしょう。白内障は、中途失明原因としては世界第1位です。

 似たような名前の緑内障(国内では失明原因の第1位)は、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症と並んで、中途失明を起こす恐れがあります。緑内障は視神経が障害されるのに対し、加齢黄斑変性症と糖尿病網膜症は、網膜が障害されるのが原因です。

 緑内障は病状の進行につれて少しずつ視野が狭くなり、加齢黄斑変性症は網膜の中心の黄斑が障害されるため、視野の中心が暗くなったり、欠けたりするほか、モノが歪んで見えたりするのが特徴。糖尿病網膜症は、黄斑が障害されない限り、症状が表れにくく、発見が遅れやすい。繰り返しになりますが、どれも失明原因なので、発見が遅れると光を失いかねません。

 では、どうするか。これらを調べる決め手が、眼底検査です。眼底検査は薬で瞳孔を開いてから行う場合と使わずに行う場合があり、より詳しく網膜や視神経が集まる視神経乳頭部をチェックできます。この検査との組み合わせで、これらの病気を鑑別するのです。

 緑内障は、さらに視野検査と眼圧検査をプラス。視野検査は、どの部分が見えて、どの部分が見えないかを調べるもので、眼圧検査は“目の硬さ”を判定するもの。糖尿病網膜症は、糖尿病に関連する検査との総合判断で、加齢黄斑変性症は視力検査と併せて判断します。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

関連記事