進化する糖尿病治療法

なぜ年1回でほとんど春? 健康診断結果に潜む問題点

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 本来は、1回の結果だけを見るのではなく、過去と比較して数値がどう変化しているか、どの程度の基準値範囲内なのか(ギリギリなのか、余裕なのか)、家族歴はどうかなど、複合的な観点から判断し、今後の対策を講じなくてはなりません。ところが残念ながら、医療者側はそこまでできる時間がない。本人が「自分の体を守るのは自分」という自覚を持って、結果をチェックするしかないのです。

 健診の問題点は「1年に1回、しかも春に行われることがほとんど」という点にあります。一般的に1年のうち、食生活が乱れがちになるのは年末年始ではないでしょうか? この時、数値がどうなっているか。それを知ることが健康を考える上で非常に大事ですが、1年に1回の健診ではそれができない。健診に向けて準備をしている人は、「健診の数値は、本当の数値ではない」と自覚して、見方を変えるべきでしょう。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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