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ホルモン補充療法5年以上継続で乳がんリスクが上がるのか

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ホルモン補充療法(HRT)をしていると体調がよくなるため、できるだけ長く続けたいと希望する方がいます。しかしHRTを始めて5年ほど経過すると、医師から「そろそろやめましょうか」と言われます。

 なぜなら、過去のデータで「5年以上のHRT継続で乳がんリスクが上昇する」という報告があり、治療は最大5年までといわれてきたから。しかし最新の研究や日本産科婦人科学会・日本女性医学学会の2017年度版のホルモン補充療法ガイドラインでは、継続に年齢や継続期間の制限はないとされています。

 HRTの治療目的がしっかりしており、かつ継続使用のベネフィットがリスクを上回る場合は、医師がしっかりと説明した上で、5年以上使い続けることが可能となっています。

 HRTには、閉経後から特に顕著になる骨量減少に歯止めをかけ、骨粗しょう症を予防する作用があります。骨粗しょう症は骨がもろくなる病気。健康な人ならなんでもないちょっとしたことでも骨折し、これがもし大腿骨の骨折ともなると、寝たきりや車いす生活になる可能性も。

 また、HRTには悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを上げる作用もあり、動脈硬化を予防します。閉経以降の女性の死因ベスト5に入る脳血管疾患や心疾患の一部は動脈硬化が関係しています。つまりHRTは、骨粗しょう症や動脈硬化といった重大病の予防薬としても大きな役割を担っているのです。

 HRTの継続リスクは、現在その人が抱えている疾患の有無や体調、年齢、過去の病歴などで異なってきます。まずは5年を目安に、継続していくベネフィットとリスクを医師としっかり話し合い、この先どうするかを決めていくべき。

 もし、HRTを一度やめて再び不調が戻ってくるようなら、医師と相談して継続を再考すべきケースもあります。我慢せず医師に相談しましょう。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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