5つの特性に分類 生活習慣改善がうまくいく鍵は性格分析

“1人ジョギング”が向く人もいれば、そうでない人も
“1人ジョギング”が向く人もいれば、そうでない人も(C)日刊ゲンダイ

 健康のために生活習慣を改善したいが、一歩を踏み出せない、または三日坊主で終わる――。そう思っている人は、性格検査がうまくいく鍵になるかもしれない。

■自分に適した方法を見つけられる

 日刊ゲンダイ記者が、世界的に認知されている「5因子人格分析」をアプリ化した性格分析法「NEO性格分析」を知ったのは、経営が右肩上がりである某企業の社長の話を聞いた時だ。

 NEO性格分析は60項目または240項目で構成。これらの質問に答えると、「神経症傾向」「外向性」「開放性」「調和性」「誠実性」という5つの特性に分類される。

 その社長は社員が生き生きと働けるためにさまざまな工夫をしており、NEO性格分析も活用していた。社長いわく、「神経症傾向」と分析され、コツコツと計画を立てて物事を進めていくことが好きな社員には、それに応じた仕事内容や指示の仕方がある。ほかの各特性にしても、しかり。

 そして、NEO性格分析を医療現場で生活習慣を改善するツールのひとつとして使っているのが、本紙「注目の医療~慈恵医大晴海トリトンクリニック・ライフデザインドック」(3月5日付)で紹介した、同大教授の横山啓太郎医師(付属病院腎臓・高血圧内科行動変容外来診療医長)だ。

「人間は複数の選択肢の中からひとつを選び、行動を決めています。糖尿病と診断されたけど仕事で忙しいからと受診しないのは、仕事を選んでいるのでしょう。これがその人の『あり方』。生活習慣を変えるということは、『あり方』を変えることになります」(横山医師=以下同)

 これに深く関係しているのが「好き・嫌い」の基準だ。選択の背景には、好き・嫌いの感情がある。ところが、私たちははっきりと「好き・嫌い」を認識している場合もあれば、自覚していない場合も。また、「好き・嫌い」はまだら状態。「友達がたくさんいるけど人見知り」などは、まさにそうだろう。

「NEO性格分析を活用し始めたのは、行動変容外来で医療チームや患者さんとの共通言語が欲しい、と思ったからです。血液検査などの数値に加え、患者さんの性格が分かれば、その人に適した生活習慣を考えていく上で役立ちます」

■アプリを手に入れれば誰でもできる

 NEO性格分析で神経症傾向と分析された人が、「運動をしようと考えているが、できない」と話したとする。その人は、細かく「すべきこと」を紙に書き出している。運動ができないのは、予定を立てる段階で行き詰まっているからかもしれない。あるいは、ハードルを高く設定し過ぎているからかもしれない。

「前者であれば『予定を立てる前にラジオ体操をしたら?』と背中を押すことが有効でしょうし、後者なら『スクワット100回ではなく、10回から始めよう』とハードルを下げることで継続につながるでしょう。神経症であっても、必ずしも『コツコツ型』がうまくいくとは限らないですが、なぜうまくいかないかをそこから考えればいい」

 NEO性格分析で決まった答えを見いだすことはできないものの、それを軸にいくつかの方法を考えていける。患者も「NEO性格分析でこう分析されているから」と、うまくいく・うまくいかない行動に対して腑に落ちるようになり、継続しやすくなる。

 実際、NEO性格分析を取り入れてから、「これまで生活習慣を改善できなかった」という人が、うまくいくケースが増えたという。ただし、外来では運動機能分析装置など、ほかのツールも活用している。

 NEO性格分析は、前述のようにアプリなので、ネットで手に入れられる。横山医師のような専門家の指導があればよりいいが、自分の性格の客観的な把握が、向いていないと思っていた生活習慣改善法に興味を持つきっかけになる可能性は大きい。

 人生100年時代、長く健康で暮らすための手段にしては?

【ライフデザインドックとは】

 寝たきりのリスクを減らす新型人間ドック。「NEO性格分析」を用いて、受診者の性格パターンに合わせた生活指導を行うのが特徴。

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