独白 愉快な“病人”たち

宣告され頭が真っ白に…戸叶尚さん「精巣がん」を振り返る

戸叶尚さん(C)日刊ゲンダイ

 病院の先生は「転移がなければ、手術すればほぼ心配ない」と言っていたんですけど、ネットには「30%は転移のある進行性だ」と書かれていました。その30%に入る可能性だってあるわけです。

 苦しむくらいなら一気に……と、31階の部屋から飛び降りてやろうかなと考えたほどです。すぐに飛んできてくれた母親と兄貴、そばにいてくれた友達、そして、「早く練習に戻って、もう一回マウンドに立ちたい」という思いが支えになりましたね。

 治療は「手術をしなければいけない」と言われ、告知から10日後ぐらいに右のそけい部を切って、がんを発症している右の精巣を切り取る高位精巣摘除術を受けました。もともと病院にはほとんど縁がなかったので、入院も手術も初めて。

 どんな感じだろうという好奇心もあったんですけど、すぐにイヤになりました。

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