性感染症最前線

ミズイボ<1>スキンシップでうつる 乾燥肌だと再発しやすい

スキンシップでうつる
スキンシップでうつる(C)日刊ゲンダイ

 イボはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によってできるが、ミズイボ(伝染性軟属腫)は「伝染性軟属腫ウイルス」というまったく別のウイルスが原因になる。

 ミズイボの見た目は、表面がツルツルしていて、みずみずしい光沢のある数ミリくらいの小さな皮膚の盛り上がりで、てっぺんが少しへこんでいる「臍窩(さいか)」という部分があるのが特徴だ。

 肌が触れ合うスキンシップでうつるので幼稚園児に発症が多いが、大人の性器周囲にできるミズイボは「性器伝染性軟属腫」として性感染症のひとつに挙げられている。性感染症専門施設「プライベートケアクリニック東京」(新宿区)の尾上泰彦院長が言う。

「ミズイボは、毛が生える部分の毛包から感染します。小児の場合は体幹にできることが多いのですが、性器伝染性軟属腫は性器、肛門周囲、太もも内側など、陰毛の生えている部分を中心に多発します。また、大人の顔面にミズイボが巨大化、多発した場合にはHIVの感染を疑います」

 HIVは、人の免疫の中心となるヘルパーTリンパ球(CD4細胞)という白血球などに感染し、免疫力を破壊していく。ミズイボは、CD4陽性リンパ球数が100/μ以下になると急速に巨大化し多発するため、HIV感染の疑いが分かるのだ。

 ただ、これらのミズイボは厳密には違いがある。伝染性軟属腫ウイルスのDNAの塩基配列は1996年に明らかにされたが、DNAの制限酵素切断パターンから4つの型に分類されている。小児、免疫不全者、成人の性器のミズイボは、その型がそれぞれ異なっているという。

 とはいっても治療法は同じ。もともとは数カ月から数年で自然消失する疾患だが、早めに治療した方がいいのは、その期間に他人にうつしてしまうからだ。

「ミズイボの中身は、ウイルスと変性した表皮組織からなる『モルスクム小体』という乳白色の粥(かゆ)状物質です。その小体が皮膚に接触して感染します。最も簡単な治療法は、ピンセットでつまむと臍窩から小体が出てきます。そのように一つ一つつまんで取っていくのです」

 他にも腐食剤を塗る治療法。大きいイボは、局所麻酔で切除、レーザーによる蒸散、液体窒素による凍結療法などを行う場合もあるという。

 再発予防では、ミズイボは乾燥肌だとできやすいので、入浴後に保湿剤を塗るのがいい。

 また、タオルやバススポンジなどを介した間接的な感染もあるので、発症者との共有は避けた方がいいという。

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