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漏らす人も…頻尿の一因「過活動膀胱」は内視鏡で内圧測定

漏らしてしまう人も…
漏らしてしまう人も…

 患者さんと接していると、頻尿を気にされる方は少なくありません。これから暑くなりますが、トイレが近くなったり、夜目が覚めたりするのを嫌がって、水分摂取をためらう方も。適切な水分摂取は脱水予防に大切ですから、無理に控えるのはよくありません。

 では、なぜ頻尿になるのでしょうか。頻尿という結果は同じでも、原因はいくつかあります。

 ①膀胱炎や尿道炎、膀胱結石などは、膀胱への刺激が増すことで頻尿に。②尿道を取り囲むクルミ大の前立腺が肥大すると、排尿の不具合で残尿がたまって発症。③脳卒中や脊髄損傷などで膀胱を支配する神経が障害されるケース。④糖尿病や腎障害などの病気で水分を取り過ぎる傾向にある場合、そして⑤が心因性。②③⑤などが複合して過活動膀胱になることも。

 ①の膀胱炎や尿道炎は細菌の感染が原因。尿沈渣検査により、炎症で白血球が増えていないか、尿細菌培養検査で原因の細菌を調べます。症状としては、膀胱や尿道の痛み、膿なども伴いますから、見逃すことはまれでしょう。

 膀胱結石は頻尿よりは痛みと血尿が強く、尿検査とCTやMRIなどの画像検査を合わせて診断します。

 問診や症状などから、前立腺肥大症が疑われるケースは、ひとつは腹部エコー検査です。尿がたまった状態で、前立腺の体積や形、膀胱の変形具合をチェック。尿が出る勢いや1回の排尿量を調べる尿流量残尿測定なども重ねます。PSAは前立腺がんの腫瘍マーカーですが、前立腺肥大症でも上昇することがあり、採血して調べることも少なくありません。

 脳卒中や脊髄損傷は、生活の質を大きく左右する重大な病気ですが、脳や神経のどの部分が障害されているかで症状が大きく変わります。それをチェックする検査のひとつがMRIです。

 過活動膀胱は、尿が膀胱に十分にたまっていないのに、意思とは無関係に収縮する病気です。1日に8回以上トイレに行ったり、夜間頻尿に悩まされたり。尿意切迫感も1週間に1回以上あって、時には漏らしてしまうことも。

 尿沈渣検査で血尿や膀胱炎がないことを確認。残尿検査で残尿を調べるほか、腹部エコーで膀胱や前立腺をチェックします。尿道からカテーテルを挿入して膀胱の内圧や尿道括約筋の状態を調べる検査を加えることも、珍しくありません。

(梅田悦生・赤坂山王クリニック院長)

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