人生100年時代の健康法

スーパーフードに説得力はあるの? 効果確認はごくわずか

チアシード
チアシード(C)日刊ゲンダイ

 ポリフェノールなど特定の成分を強化した「デザイナーフーズ」は、まだ市場に登場していません。しかしそれを待たなくても、世間には「スーパーフード」と呼ばれる食品があふれています。

 (社)日本スーパーフード協会のホームページには、「一般の食品よりビタミン、ミネラル、クロロフィル、アミノ酸といった必須栄養素や健康成分を多く含む、おもに植物由来の食品」と書かれています。鳴り物入りでマスコミに取り上げられている食品は、すべてスーパーフードと呼んでよさそうです。

 数カ月前にはダークチョコレートがもてはやされていましたし、チアシードやマヌカハニーなどを覚えている人も多いはず。最近では「おからパウダー」がテレビで紹介されたため、主婦の間で大人気とか。

 もっともおからを含む大豆製品は、ずっと以前から健康食品の代表とされてきましたから、いまさら感は否めません。逆に、同じ食品を、業界とマスコミが手を替え品を替えて大々的に宣伝し、数年おきにはやらせていると言いたくなってきます。

 それはさておき、スーパーフード系の食品は、実際にどれほどの効果があるのでしょうか。ちゃんと確認するためには、その食品に関する何十、何百という論文を読んで判断しなければなりませんが、われわれにはさすがにそんな真似はできません。

 そこで頼りになるのが、国立健康・栄養研究所がインターネットに公開している「健康食品の素材情報データベース」です。スーパーフードをはじめ、多数の健康食品と有効成分の実際の効き目について、専門家がまとめた情報が掲載されています。たとえば女性に人気のプロポリスは、「俗に、『抗菌作用がある』『炎症を抑える』などと言われているが、経口摂取における有効性については十分なデータが見当たらない」といった、身も蓋もないことが書かれています。

 ありていに言えば、世間で注目されている食品のうちで、確かに効果があると確認されるものは、ごくわずかに過ぎません。大半のスーパーフードは、「たぶん効くだろう」「効くんじゃないかな」程度の説得力しか、いまのところ持ち合わせていないということです。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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