後悔しない認知症

親にボケ防止習慣の無理強いすると逆にストレスになる

将棋や囲碁もいい(C)日刊ゲンダイ

「客観的に見ても認知症の症状はありませんね」と知人は安心顔でいう。実際、彼女は最近受けた認知症の検査でも満点を取って、担当の医者を驚かせたそうだ。

 彼が気に掛けるように、認知症を発症するとこれまで続けてきた趣味や習慣に変化が表れる。脳の萎縮によって、物事への興味、行動への意欲が低下することで生じる変化だ。衣食住についてのこだわりがなくなったり、知的関心がなくなったりする。このコラムで度々述べているが、それを回避するためには「脳を悩ますこと」が大切だ。とくに読書や新聞、雑誌の購読は有効だ。併せて、入力された情報を子どもや友人、知人に出力する機会が多ければなおいい。日記を書く、手紙を書く、詩を書く、俳句や川柳を詠むといった出力も同様だ。

■習慣を変えず入力&出力を

 ただ、こうした情報の入力、出力といった行為は、高齢な親自身がこれまで親しんできた趣味、習慣の中で続けてもらうことが重要だ。

2 / 3 ページ

和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

関連記事