人生100年時代の健康法

行ったり来たり…またも浮上した「卵とコレステロール問題」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 科学的にどちらに分があるのか分かりませんが、人類は穀物を食べてここまで繁栄してきたのだ、という事実は大きいと思うのです。

 そういえば卵問題も微妙になってきました。昭和の時代には、卵は栄養価が高いから積極的に食べるべし、といわれていました。

 ところが平成に入ると、血中コレステロールを上げる真犯人とされ、1日1個までといわれてしまいました。それがまた逆転し、いまでは卵と血中コレステロールは無関係、何個食べても大丈夫と、厚生労働省からお墨付きが出たほどです。

 しかし今年に入って、アメリカの有名な医学雑誌に、卵を食べると血中コレステロールが上がり、心臓病が増えるという最新研究の論文が発表されたのです。卵にとっては、2審で無罪を勝ち取ったのに、検察側の上告で、また法廷に呼び戻されたようなもの。なんだか可哀想になってしまいます。

 このように、食にまつわる健康情報は行ったり来たり。そのたびに我々も右往左往させられます。「いい加減にしてくれ」と言いたくなるのは私だけではありますまい。このカオスは、いったいいつまで続くのでしょうか。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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