独白 愉快な“病人”たち

帯状疱疹で1週間10キロ痩せ…モモコさんは今も痛みと闘う

モモコさん
モモコさん(C)日刊ゲンダイ

 去年の10月の終わりに、ほっぺの下の部分がピリッとしたんです。見た目は何ともないんですけど、さんしょうを食べ過ぎた時に似たピリピリ感で初めての感覚でした。「おたふく風邪かな?」と思って内科にかかったら、血液とかエコーの検査をしてもらってもおたふく風邪じゃなくて、先生に「風邪のひきかけかなぁ」と言われました。

 それで、その日は処方してもらった風邪薬を飲みながら仕事したんですけど、やっぱりピリピリ感は治まらない。口の中かなと思って、次の日、仕事の前に歯医者へ行きました。そしたら、先生が「ロキソニンを飲みなさい」と痛み止めを出してくれたんです。

 でも、ロキソニンを飲んでも治るどころかだんだん痛くなって、その夜、左耳の穴のそばにある出っぱり(耳珠)にプツッと水疱ができました。それを見た身内の者が「帯状疱疹やと思います」と教えてくれました。彼女もかかったことがあるそうなんです。

 で、次の日の朝に大きい病院へ行ったら、その通り「帯状疱疹」と診断されました。今、50歳以上の患者数がグーンと増えているそうです。小さい頃にかかった水疱瘡のウイルスが体の中に残ってて、疲れた時とかに暴れ出して神経に沿って発症するんですって。

 私の場合、顔の左側、耳から口の下にまで水疱がどんどん増えて広がって、赤くなって……。また、その水疱がつぶれてグチュグチュになって、痛みもメチャメチャあるんです。顔半分、トラックにひかれて血が出てるような痛みで、ピークの時は「気を失うかもしれん」と思うくらいでしたね。

 口の中もひどくて、口はほとんど開かないし、水も飲めず、ご飯が食べられず……で、1週間で10キロ痩せました。耳の中もひどくて、普通は鼓膜は白いんですけど、私は黒くボロボロになりました。危うく耳が聞こえなくなるところだったそうです。

 しかも、ブツブツがなくなった後、帯状疱疹になった50歳以上の人の約2割がかかるといわれる「帯状疱疹後神経痛」になっちゃったんです。痛みだけがずっと続いている。これが一番つらい。 帯状疱疹の症状が重かった人がなるそうで、顔の左側と口の中が今もしびれて、ピリピリして、急に締め付けられたように頭がギューンと痛んだりします。今の痛みは、ピークの時を100としたら55かな。ご飯は口の右側だけ使って食べられるようになっています。でも、骨折より、出産より痛いですよ。

 ピリッときてすぐ帯状疱疹とわかっていれば、これほどひどくならなかったんじゃないかと思います。でも、お医者さんでも、なかなかすぐにわからないそうですから仕方がないですね。

 今はペインクリニックに通っています。点滴とかブロック注射とか、やれることは全部やりました。怖かったけど、顔の鍼治療もやりました。治したい一心で。

 薬は多い時で20錠ぐらい飲んでました。今はがん患者に処方されるような強い痛み止めのリリカ、ワントラム、ノイロトロピン、胃薬とか全部で毎食後6錠。どれが効くかわからないから、いろいろ試してきましたけど、残念ながらどれもあまり効いていませんね。ブツブツは消えたから、友達が「治ってるやん!」って言って顔を触るんですが、それがまた死ぬほど痛くて……。

■仕事を休むほうがイライラするし気持ちが落ち込む

 そんな状態でも、仕事は好きなんで休んでません。ブツブツがあった時もお化粧で隠して、前髪の分け目を左から右に変えて、髪の毛でも隠れるようにしてました。その髪の毛が触れるのも激痛なんですけどね。お医者さんは「痛みは見えないから、痛みをガマンすれば好きな仕事はできます。だから頑張ろう!」と励ましてくれています。

 原因は過労か、ストレスで免疫力が下がることだといわれています。でも、忙しかったといえば、これまでずっと忙しくて、帯状疱疹を発症した時が特別忙しかったとは思いません。年齢を重ねた分、免疫力が落ちているのかもしれませんけど、仕事を休んだほうがイライラするし、気持ちが落ち込むんです。痛みのことばかり考えてしまうから……。痛みがピークの時でも、仕事になるとそれまで開かなかった口が開いて、何かを食べることもできたんです。

 帯状疱疹で悩んでいて仕事をしていない方は、趣味を持ったらいいと思います。

 旅行に行くとかコンサートを楽しむとか、痛さは消えなくても気は紛れますからね。

 帯状疱疹は80歳までに3人に1人がなるといわれているので、誰でもかかる可能性がある怖い病気です。ただ、今は3年前から50歳以上の人は皮膚科や内科で予防接種が受けられるようになっているんですよ。

 予防接種は、受けたら帯状疱疹に絶対ならないというわけではなくて、インフルエンザの場合みたいに「なるかもしれないけど軽くて済む」という注射です。一度、予防接種を受けたら数年は効果が持続するそうなので、50歳以上の人はなるべく早く病院へ行って、ぜひ受けてほしいです。 (聞き手=中野裕子)

▽1964年、大阪市生まれ。NSC大阪校1期生で、82年に同期のリンゴと女性漫才コンビ「ハイヒール」を結成し、一躍人気者に。関西を中心に活躍中で、お昼の情報エンターテインメント番組「モモコのOH!ソレ!み~よ!」(関西テレビ放送)などレギュラー多数。

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