健康保険の範囲内で入れることができる銀歯は体に良いものではありません。実は銀歯は世界で日本しか使用されてないのです。
銀歯として使用している12%の金銀パラジウムの構成成分は、金12%、パラジウム20%、銀50%、銅16%、その他2%です。統計にもよりますが、パラジウムは約半数の人に金属アレルギーの陽性反応が出るといわれていて、ドイツやスウェーデンなどの医療先進国では体に与える影響を考慮してパラジウムフリーのかぶせ物を使うことを強く推奨しているのです。また、一見問題がなさそうでも、金属は不透明で中が見えないため、虫歯が進行していることもよくあります。
僕の患者さんで、長年金属アレルギーの症状が出ていたものの、その原因が歯にかぶせてある銀歯だったことを突き止められなかった方がいらっしゃいます。
その方は、夏になって半袖になると手首や指の股、指などに水疱(すいほう)ができていました。かゆいし、見た目も悪いので、皮膚科で診察してもらっても、抗生物質の入ったステロイド剤の塗り薬を処方されるだけで、原因はさっぱり分からなかったそうです。気の毒なことに20年近く、夏はその症状に悩まされていました。
その患者さんが、歯茎が腫れて診察にいらしたとき、銀歯が良くないという話をしたところ「もしかして?」と銀歯からの金属アレルギーを初めて疑ったそうです。その後、治療済みだった大昔の銀歯をすべて外してジルコニアの歯に変えると、あんなにも悩まされていた夏の不快な肌荒れは嘘のように発症しなくなったのでした。
近年は金属アレルギー対策として、保険適用の白いかぶせ物もあります。「CAD/CAMハイブリッドレジン冠」と言います。
しかし、限られた条件の中でしか適用されないことや、材質に欠点もあるため、僕のように導入しない医院も多いのが現状です。
(構成=小澤美佳)
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