顔を記憶する脳の領域は決まっていて、その他の記憶は特定の領域を持つものも持たないものもある。「認知症予防に人の顔を記憶するよう心がけている」という人は、その領域を鍛えているだけで必ずしも認知機能全体を向上させることにはつながらない可能性がある。
「認知機能が低下した人は同時に2つ以上のことをするのが難しくなります。実際、歩いているときにおしゃべりすると転びやすい、という報告があります。認知症を検知したり改善したりするため同時に2つ以上のことをする訓練のひとつとして運動は良いのかもしれません。しかし、運動だけでOKというわけではないと思います」
そもそも、認知機能テストで一定の点数を取れば正常と認定されるが、正常とされる脳にもさまざまなバリエーションがある。時間感覚、記憶、空間認識、図形認識に問題がある場合がある。