生活と健康 数字は語る

「炭水化物」多少の取りすぎや不足は大した問題ではない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 日本人の炭水化物摂取割合が55~60%くらいという状況で、炭水化物の摂取割合が50~55%で一番寿命が長いという情報はいったいどのように役立つのでしょうか。

 具体的に考えてみましょう。国民健康栄養調査では男性では2000~2200キロカロリーの総エネルギー摂取量です。ここでは大ざっぱに1日2000キロカロリー食べるとしましょう。そのうち50%の1000キロカロリーを炭水化物から取る場合、茶わん1杯、6枚切り食パンの1枚半が250キロカロリーですから、1日で毎食茶わん1杯か食パン1枚半を3回にお菓子、果物ちょっとみたいな感じです。茶わん4杯食べるとそれだけで1000キロカロリーですから、お菓子、果物はほんの少々ということになります。

 しかし、こんなふうに考えると憂鬱なところもあります。今日は夕食のご飯をおかわりしたので食後のアイスはやめておこうかな、みたいになるわけです。食事は健康のためと同時に日々の生活の最も重要な部分でもあります。健康のためと言いつつ、そこが憂鬱になってしまっては、なんだかなあという感じです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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