進化する糖尿病治療法

「たまにはいいよね」の「たまに」は本当に「たまに」?

本当に「たまに」?

 それではどうすればいいでしょうか? たとえば家族と過ごす日は、子供たちにならってノンアルコールデーにする。会社の仲間との気の置けない飲み会などは、つまみを豆腐や枝豆、豚しゃぶ肉といった高タンパク・低脂肪のものを中心に選ぶようにする。食事のメニューを自分では選びづらい仕事絡みの会食では、逆に酒の量を控えめにする。「“イベント”が続いているのが、今の自分の食生活なんだ」としっかり認識していれば、その場、その場でできることをうまく選択していけるはずです。

 また、夜多く食べるので、朝、昼を極力少なくするのも栄養、吸収のバランスから見て長期的には良くありません。人によっては、時々むちゃな食生活をする方が、それまで通りの規則正しい食生活に戻すのが大変になる、という話も聞きます。確かに、年末年始に暴飲暴食をしたら、その後、以前の粗食に戻すと、味気なさを一層感じたという人は結構いるのではないでしょうか。

「たまにはいいよね」は、何でも許してしまう魔法の言葉です。現実を直視し、魔法の言葉に惑わされないようにしましょう。少しでも意識していただき、習慣づけることが大切です。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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