休職させない精神科医療

診断書で職場環境を改善することも「うつ病」治療の一環

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「休職には損益分岐点がある。メリットがデメリットを上回っているのは短くて数日、長くて数週間。数カ月ではない。そのポイントを超えると、状態は坂道を転げ落ちるように悪化します」

 こう語るのは、「独協医科大学埼玉医療センター」(埼玉県越谷市)こころの診療科教授の井原裕医師(顔写真)。この井原医師が提言するのは、「休職せず働きながら治す精神科医療」だ。

 そんな井原医師は、うつ病患者に安易に処方されることの多い抗うつ薬も、実はうつ病患者の2割程度にしか効いていないという考えを持っている。それでは、井原医師はどのようにうつ病を治療するのか。それは、職場環境と生活習慣の改善だ。

 生活習慣については、次回以降に解説することにして、長時間労働など、自身にはいかんともしがたい職場環境はどうやって改善するのか。それを可能にするのが、健康管理に関する事業者側責任を明記した診断書だ。

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