天気の変化で頭痛が悪化…改善に役立つ方法を専門医が伝授

梅雨時季にひどくなりやすい
梅雨時季にひどくなりやすい(C)日刊ゲンダイ

 頭痛に悩んでいる人は、「天気」に原因があるのかもしれない。頭痛をはじめとする体の不調と天気との関係に着目して治療を行う愛知医科大学病院痛みセンター(気象病外来/天気痛外来)の佐藤純医師に話を聞いた。

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 気圧、気温、湿度など気象の変化によって生じる不調の総称を「気象病」と呼ぶ。

「大きく分けて症状は2つ。ひとつは、めまいや肩凝り、イライラなどの不定愁訴です。そしてもうひとつは、頭痛や関節痛などもともと持っている病気の痛みが悪化するもので、私は『天気痛』と名付けています」(佐藤医師=以下同)

 佐藤医師の外来では天気痛の相談は多く、特に頭痛は約4割を占める。

 なぜ気象病や天気痛は起こるのか? それは、気圧の変化は耳の奥の内耳という部分で感じ取るのだが、気圧の変化そのものが体にストレスを与えるからだ。

「すると脳が自律神経にストレス対応の指令を送ります。上手に対応できる人は問題ないものの、自律神経が失調していたり、ストレス対応がうまくできなかったりすると、不定愁訴や天気痛が生じるのです」

 また、季節の変わり目などに気温が急激に変化すると、体がうまく対応できない。

 気象病は梅雨の時季に悪化しやすいのだが、高い湿度が皮膚にまとわりついて汗をかきにくくなり、熱が体内にこもりやすく、これも不調の原因になる。

「高い湿度は、心理的にうつ状態にさせる。梅雨時季には気分の落ち込みやイライラも起こりやすくなります」

■記録をつけて悪化のタイミングを把握する

 頭痛が「天気痛」かも……と思ったら、頭痛がいつ起こったかと、その時の気象を詳細に記録。悪化のタイミングは人それぞれだ。記録をつけると、自分の悪化の「波」を知ることができる。それによって、天気痛が起こりそうな時に対策を講じることができる。

「内耳の循環を改善し、神経の興奮を抑える抗めまい薬が有効です。天気痛がひどくなってからでは効果が十分ではなく、“起こりそうな時”に服用するのが肝心です」

 漢方薬を使うのも有効だ。「五苓散」「半夏白朮天麻湯」「抑肝散」「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」などがよく使われる。体質などで合う漢方薬が異なるので、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談を。

「私が考案した“くるくる耳マッサージ”と“天気痛体操”も、患者さんから『症状が緩和した』と好評です」

 くるくる耳マッサージは、耳を軽くつまみ、上・下・横に5秒ずつ引っ張る→耳を軽く引っ張ったまま後ろに5回ゆっくり回す→耳を折り曲げ5秒間キープ→耳全体を手で覆い、円を描くようにゆっくり5回後ろに回す。朝、昼、晩行う。

 天気痛体操は4通り。日常的にやる。

①テニスボールの上に寝転び、頭の付け根、首、顎の下、耳の下、肩甲骨の下、腕の付け根から鎖骨などの下でテニスボールを動かして圧をかける。1カ所10秒程度。

②下顎に両手を当て真上に持ち上げ、顎の向きを斜め右、左と動かす。

③頭の左側に右手をのせ、頭を右側に倒し、手の重みで頭と首を横と斜め前に伸ばす。反対も。

④頭の左側に左手を添え、頭と手で押し合う。頭の右側、前側、後ろ側で同様に。また、左頬に左手を添えて、顔と手で押し合う。反対側も。

「気象病は、自律神経の乱れが関係しています。日頃から自律神経を整えるように、規則正しい食生活を送ることも重要です」

 頭痛に悩んでいるならやってみよう。

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